独学でアコギが上手くなるレッスン方法③ローコードの次はバレーコードを覚えよう
ギターを始めようと思った人がまずつまずくのが、コードの覚え方ではないでしょうか。
前回の記事でコードの原理と簡単なコードをいくつか紹介しましたが、その際にコードの押さえ方にはローコードとバレーコードというものがあると説明しました。
「音楽」を「料理の作り方」に置き換えながら説明しましたが、理解できたでしょうか?
今回はバレーコードの紹介をするとともに、なぜローコードだけ覚えるのではダメなのかを詳しくご説明します。
これで簡単に弾き語りをするくらいのコードは覚えられますよ。
意外と見落としがちなローコードのデメリット
前回紹介したローコードの極意は「極力押さえる所を少なくして楽をする」というものですが、実はこれ、ちょっとしたデメリットがあるんです。
まず、ローコードは開放弦を多用するのでそれぞれの弦の音にばらつきがでることが1つ。
開放弦というのは、どこのフレットも押さえずに弦をそのまま鳴らす弾き方のことです。Cの場合は1弦と3弦が開放になりますよね。
このときに指が触れている弦と触れていない弦とでは音の質が異なるという現象がおき、違和感が生じます。
高価で質の高い楽器ならばこの違和感は最小限に抑えられますが、安価な楽器だと演奏中もなんとなく気持ち悪いな~と感じ集中できないなんてこともあります。
このときに指が触れている弦と触れていない弦とでは音の質が異なるという現象が起き、違和感が生じます。
それを解決するために、開放弦を使わずに全ての弦に指が触れている状態で弾くことで音に統一感を持たせるようにします。これこそがバレーコードです。
左手の人差し指で全ての弦を押さえ、中指・薬指・小指で残りの弦を押さえるので、慣れないうちは弦をうまく押さえられないかもしれません。ですが、練習を重ねて全ての弦がきれいに鳴ったときは音の統一感を感じることができると思います。
そしてもう1つのデメリットが、他のコードフォームとの関連性が薄いということです。
ローコードの場合1つ1つのコードフォームは押さえやすく作られているんですが、それぞれのコードの関連性が薄いため、コードをそれぞれ地道に覚えていかなくてはなりません。
例えば、GとAという2つのコードを例にとりましょう。
Gは6弦3フレット、5弦2フレット、1弦3フレットを押さえ4弦、3弦、2弦は全て解放になります。Aは4弦2フレット、3弦2フレット、2弦2フレットを押さえ6弦は親指で軽くミュートし5弦1弦は開放になります。
上記の押さえ方だと、2つのコードに類似点や関連性を見つけることはできないと思います。
しかし、バレーコードの場合、押さえ方は同じで押さえる位置をずらすだけでA→Gの流れを作ることができるんです。
つまり、バレーコードの場合は2~3種類の形を覚えてしまえば位置をずらすだけでほぼ全てのコードが作れるようになるのです。そしてこの「形は同じで位置をずらすだけ」という点において最も重要となるコードがFなのです。
なぜFが最も重要なの?
前回の記事の中で覚えるべきコードとして挙げた中からABCDEFを例にすると、この中でFは特に押さえるのが難しいと思います。
その理由として挙げられるのが人差し指ですべての弦を押さえなくてはならないというところでしょう。その他のコードと比べ握力が必要になりますし、中指・薬指・小指まで全て使わなくてはいけません。もうお分かりだと思いますが、Fの押さえ方はバレーコードなのです。
初心者向けのサイトでは、Fがバレーコード式の押さえ方で成り立っているということを教えてくれている記事はあまりありません。
そのため、Fは「何だか押さえ方が難しい」というイメージが先行して苦手意識を持つ人が多くなっていて、「Fを覚えればほぼ全てのコードを押さえることができるようになる」というメリットがあまり知られていないのです。
ではここで具体的にそのメリットを実感してもらいましょう。
ギターを手にとってF→G→A→Gというコード進行を弾いてみてください。GとAをローコードで弾いた場合、コードチェンジがなかなか忙しくなりますよね。これが先ほど述べた「ローコードはそれぞれのコードの関連性が薄い」というデメリットがわかりやすく出た例です。
ではこれを全てバレーコードで弾いてみましょう。
やり方は簡単です。押さえ方は全てFの形と同じままで、押さえる位置をずらすだけ。GはFの形のまま人差し指を3フレットにずらす、Aは5フレットにずらす、ただそれだけです。
もう少し詳しく言うと、Gの場合は1弦から6弦までを全て人差し指で押さえ、5弦5フレットを薬指、4弦5フレットを小指、3弦4フレットを中指で押さえましょう。同じようにAの場合は5フレットを全て人差し指で押さえ、5弦7フレットを薬指、4弦7フレットを小指、3弦6フレットを中指で押さえます。
ではさらにバレーコードですべてを弾くことのメリットがわかる例をご紹介します。
A→G→F#→Gという進行を弾いてみましょう。
これもAとGがローコードの場合、かなりコードチェンジが忙しくなりますよね。しかし全てバレーコードで弾くとスムーズにコードチェンジができます。形は同じままで5フレット→3フレット→2フレット→3フレットとずらすだけです。
どうでしょう。Fが押さえられるようになれば、ローコードで弾くよりも実は簡単かもしれません。
F以外に覚えるべきバレーコードは?
ではここでクイズです。前回の記事で紹介したABCDEFGのうちF以外にもう1つバレーコード式で作られているコードがありますがそれは何でしょう?
バレーコードとは、人差し指で1弦から6弦を全て押さえ、残りの指で他の弦を押さえるやり方ですよね。
そう、正解はBです。
Bの場合は2フレットの全ての弦を人差し指で押さえ、中指・薬指・小指で 2弦4フレット、3弦4フレット、4弦4フレットを押さえます。中指・薬指・小指が窮屈になってしまうなぁと思う人は、2弦3弦4弦は全て薬指でべたっと押さえてしまっても大丈夫です。
ではB→C→D→Cというコード進行をCとDをローコードで弾いてみてください。これも先ほどと同じようにコード進行が忙しくなってしまいますね。
そこでこのコード進行を全てバレーコードで弾いてみましょう。形はBのときのまま、人差し指を2フレット→3フレット→5フレット→3フレットとずらすだけです。
このようにバレーコード式の押さえ方は形を1つ覚えてしまえばあとは場所をずらすだけで色々なコードを使い分けることができるんです。これは便利ですよね。
そしてこのときに最も重要になるのが人差し指で全ての弦をきちんと押さえるということです。この人差し指で全ての弦を押さえるテクニックを「セーハ」と言います。
まとめ
ローコードと合わせてバレーコード式の押さえ方も覚えておくことで、様々な場面でローコードとバレーコードのメリットを応用することができます。
しばらくはバレーコード式の押さえ方は手が痛くなったり音がきちんと鳴らなかったりすると思いますが、毎日きちんと練習を重ねていけば比較的早いうちに鳴らせるようになるでしょう。
頑張って練習していきましょう!